▶️消火器の基本について
こんにちは。消防設備士歴15年のMutter君です😀
みなさんは、消火器について何かしっていますか?自分は職業柄、みなさんよりは詳しい方です(笑)
消火器は、消防設備の分類の「消火器具」になります。
言わずとしれた消火する為の道具ですね(笑)
自分達は日頃の消防設備点検と同じくらい、お客様との消防訓練で、消火器の基本について説明しています。
毎回自分が訓練で思うことは、ちゃんと消火器の事を知ってる方が少ないって事です。
いざという時に知ってると、知らないとでは最初の行動から違います。
別に火事の時に、自分でいの一番に消火してくださいって話ではないです。
それが可能な状況でしたら、それに越した事はありません。被害も最小限度で抑えられます。
しかし、火を消す事に必死になって、退路を見失って逃げ遅れてしまっては、本末転倒です。
そうならない為に、自分を守る一つの知識として、消火器について知っていただきたいと思います。
昨日の自分より、今日の自分の方が、消火器について少しでも理解が深まったのでしたら、私の勝ちです(笑)
難しい話はなるべく抜きにして、家庭の豆知識レベルで消火器の事についてお話します♪
▶️消火器の中身は何が入っている??
まず消火器の中身の薬剤について、よく目にする薬剤は粉末状のものと液状のものの2種類あります。他にも二酸化炭素やハロンといった消火ガス系消火器も実はあったりします。
一般家庭では、消火ガス系消火器を設置している所は少ないと思います。
主に会社のサーバー室など、重要な電子機器がある所に設置してあります。なのでココでは割愛します。
普段メインで多く使用されているものは、粉末状のものです。
薬剤の種類としては、主にリン酸アンモニウムが使用されています。
見た目はピンク色の粉末になっており、消火器リサイクル後の薬剤は、化学肥料としても再利用されたりします。
ちなみに、みなさんがよく目にする消火器は、粉末ABC10型消火器というタイプです。
▶️消火器本体に書いてあるABCって何??
粉末ABC10型消火器の「ABC」とは、対応している火災の種類の事を指しています。
- A火災普通火災
(一般的な木材や紙等が燃える事によって起きる火災です)
- B火災油火災
(機械油や食用油、油に引火する事によって起きる火災です)
- C火災電気火災
(電気配線やブレーカー盤など、電気がショートする事によって起きる火災です)
要するに一通りの火災には、粉末ABC10型消火器は対応するという事です。
あと消火器には能力単位というものがあります。消火器のラベルをみてもらうとわかるのですが、粉末ABC10型消火器の場合、「Aー3・Bー7」と数字が表記されています。
それはA火災に対して能力は「3」、B火災に対しての能力は「7」という意味です。
その数値が高ければ高いほど、消火能力が高い消火器と言えます。しかしそれに比例して、本体のサイズも大きくなっていきます。
▶️粉末消火器の薬剤放出の仕組み
粉末消火器の薬剤が放出する仕組みとして、2種類のタイプがあります。それは加圧式と蓄圧式です。
ひと昔前までは加圧式消火器がメインでした。
現在では、加圧式消火器による経年劣化に伴う破裂事故の影響で、蓄圧式消火器がメインになりました。
写真を見て少しだけ詳しく解説します。
加圧式消火器は、目印としてレバー部分に指示圧力計がついていない物になります。
レバーを握った時に、初めて本体内の窒素ガスボンベ容器の封が切れて、本体内に窒素ガスが充満します。
なので本体容器が腐食している消火器は、この時に破裂事故の原因になっていました。
また加圧式消火器の特徴として、レバーを一度握ると内部の窒素ガスが抜け切るまで、薬剤の放出が止まりません。
個体差にもよりますが、約15秒程度、薬剤が出続けます。
蓄圧式消火器は、目印としてレバー部分に指示圧力計がついていて、内部の圧力を確認できる物になります。
あと加圧式消火器とは違い、常に本体内に窒素ガスが充満しています。
指示圧力計の確認で、自分で使用できる状態か判断しやすいのも特徴の一つです。
ちなみに指示圧力計の針が、緑枠内にあるのが正常な状態です。それより針が左側に下がっていたり、右側に上がったりしている分は、何かしら内部圧力に異常がある状態なので、使用は控えて下さい。
また蓄圧式消火器の特徴として、レバーを一度握ってしまっても、レバーを外せば薬剤の放出が止まります。
こちらも個体差にはよりますが、約15秒程度、薬剤が出続けます。
一つ注意点として、一度使用した蓄圧式消火器は、中身が残っていても、次の機会までそのまんま取っておくことは、オススメしません。
必ず専門業者へ詰め替え作業を依頼するか、新品への消火器取替を検討して下さい。
そうしないと内部圧力の不足によって、正常に薬剤の放出ができない事があるからです。
せっかくあるのに、使えないじゃ意味がありません。
今の世の中はもったいない精神を押していますが、そこはキチンと自分で考える事をオススメします。
▶️消火器の使用期限はいつまで??
消火器の使用期限は、家庭用と業務用で違います。
中身の薬剤に特別な違いや能力の違いはありませんが、業務用で10年、家庭用で5年の使用期限が定められています。
使用期限を過ぎた消火器は、お近くのホームセンターか消防設備業者に依頼して購入して下さい。
また防火対象物に設置してある業務用消火器は、製造年から10年を超えると、消火器容器自体の耐圧性能試験をする必要が出てきます。
消火器をメーカーに送ってから薬剤を抜いて、水圧による耐圧性能試験が行われます。それから乾燥させて薬剤をつめてからの発送になるので、戻ってくるまでの日数もある程度かかります。
費用的にも新品と同じくらいかそれ以上の金額がかかるので、やはり新品への取り替えがオススメです。
耐圧性能試験を1度パスしても、3年ごとに耐圧性能試験が必要になるので、コスパ的に最悪です(笑)
あと上の写真の旧規格と書いてあるのが、昔のABC火災のマークになります。
今販売されている消火器は新規格のABC火災のマークに変わっています。
もし今お持ちの消火器が、上の旧規格の消火器でしたら、有効期限切れの消火器になります。年数もですが、ABC火災のマークでも使用期限の判断ができます。
▶️消火器の処分方法について
ご不要の消火器は、お近くの特定窓口(消火器販売店等)または、指定取引場所(メーカー営業所等)へお持ち下さい。
簡単にいうと、消防設備の点検をしている業者かホームセンターが、みなさんの身近な所かと思います。
消防設備点検業者でしたら、直接お引き取りに伺う事もできると思います。ホームセンターは基本持ち込みになります。
もし年数が古い消火器や、腐食が進んでる消火器でしたら、自分で運ぶのはリスクがありますので、気軽に消防設備点検業者に頼んでみて下さい。
廃棄には消火器をリサイクルする為に、リサイクルシールが必要になります。
先程説明したような旧規格の消火器には、リサイクルシールが最初からついていません。
今販売している消火器は、リサイクルシールが最初からついているので大丈夫です。
なので、旧規格消火器の処分の場合は、処分費と別にリサイクルシール代がかかる事になります。
ちなみに、消火器の大きさによってリサイクルシール代は変わります。
消火器自体の処分費用はお住まいの地域によって、違うかと思いますので、ご自身で消防設備点検業者へご確認下さい。
▶️まとめ
消火器も使ってみないとわかりませんが、意外に15秒くらいしか薬剤は出ません。
実際の火事に直面したら、その時間はとても長く感じるかと思います。
使わないことに越したことはないですが、そこも知ってると知らないとでは行動が違います。
実際それによって日頃身近に置いておく、消火器の本数の考え方も違ってくると思います。
過剰に置きすぎると、5年後、10年後の更新分が負担にもなります。
ただ防火対象物に認定されている建物は、今設置してある本数からは変更ができません。
厳密にいうと、消防署に届出を出さないと変更できません。
それが認められたら、変更は可能です。
なので結構な手間です(笑)
基本今ある消火器が、常に使えるようにしておくのが最優先です。
要はそこが一番大事です。
いっぱい置こうが、古い消火器がたくさんあっては意味がありません。
一度周りの消火器の年数を確認してみて下さい。多分古い消火器が隠れてると思います。
自分を守る一つのお守りとして、一度消火器について考えていただけたら幸いです。
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